・熱帯夜
湿った風が蝉の声を遠ざけ、季節がひとつ動こうとしている。その移ろいに体がまだ追いつかず、肌にまとわりつくような重さを感じる夜だ。遠くで何かが決まろうとしているかすかなざわめきが、胸の奥で小さな波紋を作っている。まわりの人の余裕が少し削られているような気配もあるけれど、それは決してあなたのせいではない。誰かの賑やかな日常が、ふとした瞬間に自分と比べてしまうこともあるだろう。一週間が灰色に沈んで見える夜があってもいい。
明日の朝は、新しい何かが始まる予感に包まれて、街の空気もどこか緩む。昼にかけては季節の移ろいに備えて、少しずつ身じたくを整える時間が必要になる。夜には画面の向こう側が賑わいを見せるかもしれないけれど、日曜の朝に街へ踏み出す人の波は、きっと穏やかだ。潮が大きく動き出すことも、明日の流れの一部として刻まれている。週の半ばには、ふっと息をつける時が訪れるはずだ。
今夜は、眉間の力をそっと緩めて、深く呼吸を繰り返す。明日、外出する時は雨の気配に備えて、お気に入りの傘を手に取る。帰りに立ち寄って、足りなくなっている水を一本、買い足しておく。そして、外に出る前に鏡をひと拭きして、顔を整えてから出かける。
クロ・陽葵・優月が、この夜の手紙を読んでいます
この夜の地域版 — 関西・関東